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採精

採卵をする日・時間にあわせて精液を自宅もしくは採精室(このような部屋がない施設もあります)にて採っていただきます。


◆1、採取された精液について

自宅で精液を採取した場合は、病院に提出まで約2〜3時間以内に提出して下さい。採取した精液を冷やしたり温めたりする必要はありません。採取後の時間がはやければ早いほど妊娠率が高いというわけではありませんので、2〜3時間以内に提出をして下さい。


◆2、精子の凍結保存

採卵日が決定してもご主人様の仕事の関係上来院できないことがありますが、そのような時は事前に凍結して保存をしておき、採卵時に融解して使用することができます。精子の凍結保存については、ほぼどこの施設でも実施しています。凍結精子を使用した場合と、凍結しない精子との妊娠率の差はありません。


◆3、精子回収方法

いくつかの症状により通常のマスターベーションにて精液を採取できない場合は、症状に応じて特別な精子回収法にて採取することもあります。
では特別な精子回収法とはどのようなものがご説明します。

精巣内精子採取法
(TESE:Testicular sperm extraction)

精巣内の組織を採取・回収して精子の有無を確かめる方法です。採取された組織内に必ず精子があるわけではないため、数ヶ所の組織採取を行います。

(手術の流れ)

○陰嚢の消毒 → 局所麻酔 → 陰嚢を切開し、精巣を陰嚢から取り出し、精巣組織を採取します。

採取した組織内に精子の有無を確認 
  → 確認された場合は、縫合し終了
  → 確認されない場合は、別組織の採取

顕微鏡下精巣上体精子採取法
(MESA:Microsurgical epididymal sperm aspiration)

陰嚢を切開し、精巣上体を陰嚢外へ出し、顕微鏡下で精巣上体管に穿刺し精子を回収する方法です。

(手術の流れ)

○陰嚢の消毒 → 局所麻酔 → 陰嚢を切開し、精巣上体を取り出し、顕微鏡下で精巣上体管にピペットを穿刺する。

顕微鏡下で精子の有無を確認  
  → 確認された場合は、縫合し終了
  → 確認されない場合は、別の精巣上体管を穿刺する

経皮的精巣上体精子採取法
(PESA:Percuraneous epididymal sperm aspiration)

上記で説明しましたTESE・MESAとの大きな違いは、陰嚢の皮膚を切開しない点です。皮膚のうえから直接精巣に針を刺して精子を回収します。

(手術の流れ)

○消毒 → 局所 → 陰嚢の皮膚のうえから直接針を刺す 

直接針を刺し、顕微鏡下で精子の有無を確認
  → 確認された場合は、終了
  → 確認されない場合は、再度針をさす。


では、男性不妊にはどのような症状があるのでしょうか。代表的な症状をご説明します。

閉塞性無精子症(へいそくせいむせいししょう)
精子は、精巣でつくられたのみ精巣上体→精管→尿道から射精されます。精子はつくられているが、精巣でつくられても尿道までのどこかがつまっていて(閉塞)射精液中に精子が存在しないことをいいます。閉塞原因はいろいろ考えられるが、精巣上体炎や先天性の精管欠損症などがあります。

非閉塞性無精子(ひへいそくせいむせいししょう)
閉塞性無精子症は精子がつくられているが、非閉塞性無精子症は、精巣で精子をつくることができず、射精精液中に精子がないことをいいます。原因は染色体異常やおたふくかぜによる精巣機能障害などが考えられています。

無力精子症
元気に運動する(前進する)精子数が全体の50%未満の場合や、高速運動の精子数が25%未満の場合、無力精子症となります。運動する(前進する)精子が少ないと卵子まで到達できないなどが考えられます。原因は、おたふく風邪などが考えられます。

乏精子症
精液1ml 中の精子数が少ないことを目安としては1ml中に2000万匹未満の状態をいいます。精液中の精子数により病名がかわることもあります。精液量や精子数は、採取時の体長やホルモンバランスなどにより異なるため数回の検査が必要な場合もあります。

逆行性射精
尿道より射精されるはずの精液が射精されず、膀胱に逆行することをいいます。そのため膀胱内に射精された精子を回収する必要があります。

奇形精子症
精子の70%以上が形態異常のことをいいます。形態異常の場合、受精能力が低く顕微授精の適応も考えられます。


 精子に関する研究も、日々進歩していますが、まだまだ解明されていないことは多く、自分でできることとしては、規則正しい生活をこころがけ、過度な飲酒や喫煙を控えることかもしれません。サプリメント服用や適度な運動にて精子の数や質がよくなったとの報告もありますが、精子の数や質の改善は今後の課題です。


◆4、精子濃縮洗浄法について

 3パターンの方法があります、各施設により異なり、どの方法も精子の運動性などについては差はないと言われています。

1) パーコール法
密度のことなるパーコール液を層に重ねて、精子をいれたのち遠心分離器にかけます。この結果、運動性の高い精子が底に沈みます。その底に沈んだ精子を採取する方法。

2) アイソレード法
アイソレード液により、運動性の高い精子と低い精子を分離させます。そして培養液でアイソレード液を除去して培養液に運動性の高い精子をいれる方法。

3) スイムアップ法
濃縮された精液に培養液を乗せると時間がたつにつれ、運動性の高い精子が遊泳してくるので、その精子のみを集める方法。