自然周期体外受精勉強会

採精

採卵をする日・時間にあわせて精液を自宅もしくは採精室(このような部屋がない施設もあります)にて採っていただきます。

1、採取された精液について

自宅で精液を採取した場合は、病院に提出まで約2〜3時間以内に提出して下さい。採取した精液を冷やしたり温めたりする必要はありません。採取後の時間がはやければ早いほど妊娠率が高いというわけではありませんので、2〜3時間以内に提出をして下さい。

2、精子の凍結保存

採卵日が決定してもご主人様の仕事の関係上来院できないことがありますが、そのような時は事前に凍結して保存をしておき、採卵時に融解して使用することができます。精子の凍結保存については、ほぼどこの施設でも実施しています。凍結精子を使用した場合と、凍結しない精子との妊娠率の差はありません。

3、精子回収方法

いくつかの症状により通常のマスターベーションにて精液を採取できない場合は、症状に応じて特別な精子回収法にて採取することもあります。
では特別な精子回収法とはどのようなものがご説明します。

精巣内精子採取法
(TESE:Testicular sperm extraction)

精巣内の組織を採取・回収して精子の有無を確かめる方法です。採取された組織内に必ず精子があるわけではないため、数ヶ所の組織採取を行います。
(手術の流れ)
陰嚢の消毒 → 局所麻酔 → 陰嚢を切開し、精巣を陰嚢から取り出し、精巣組織を採取します。
採取した組織内に精子の有無を確認 
  → 確認された場合は、縫合し終了
  → 確認されない場合は、別組織の採取

顕微鏡下精巣上体精子採取法
(MESA:Microsurgical epididymal sperm aspiration)

陰嚢を切開し、精巣上体を陰嚢外へ出し、顕微鏡下で精巣上体管に穿刺し精子を回収する方法です。
(手術の流れ)
陰嚢の消毒 → 局所麻酔 → 陰嚢を切開し、精巣上体を取り出し、顕微鏡下で精巣上体管にピペットを穿刺する。
顕微鏡下で精子の有無を確認  
  → 確認された場合は、縫合し終了
  → 確認されない場合は、別の精巣上体管を穿刺する

経皮的精巣上体精子採取法
(PESA:Percuraneous epididymal sperm aspiration)

上記で説明しましたTESE・MESAとの大きな違いは、陰嚢の皮膚を切開しない点です。皮膚のうえから直接精巣に針を刺して精子を回収します。
(手術の流れ)
消毒 → 局所 → 陰嚢の皮膚のうえから直接針を刺す 

直接針を刺し、顕微鏡下で精子の有無を確認
  → 確認された場合は、終了
  → 確認されない場合は、再度針をさす。

4、精子濃縮洗浄法について

3パターンの方法があります、各施設により異なり、どの方法も精子の運動性などについては差はないと言われています。

1) パーコール法
密度のことなるパーコール液を層に重ねて、精子をいれたのち遠心分離器にかけます。この結果、運動性の高い精子が底に沈みます。その底に沈んだ精子を採取する方法。

2) アイソレード法
アイソレード液により、運動性の高い精子と低い精子を分離させます。そして培養液でアイソレード液を除去して培養液に運動性の高い精子をいれる方法。

3) スイムアップ法
濃縮された精液に培養液を乗せると時間がたつにつれ、運動性の高い精子が遊泳してくるので、その精子のみを集める方法。